東京高等裁判所 昭和57年(ラ)610号 決定
1 本件競売事件記録(原審記録)によると、原審裁判所から本件競売不動産の評価を命ぜられた評価人は、その評価に際し、同不動産中の土地二筆(以下「本件土地」という。)については実測面積が合計一〇六四・四五平方メートルの公簿面積とほぼ一致することを前提とし、いわゆる建付地減価をした一平方メートルあたりの価額を金六一七五円と算定のうえ、これに公簿面積を乗じた数額を右土地の評価額として採用したこと、原審裁判所は、右評価人による競売不動産中の建物の評価額と本件土地の評価額との合算額にほぼ合致する金八九〇万円を最低売却価額と定め、土地・建物全部の一括売却を実施し、右最低売却価額による買受けの申出を許可する旨の原決定をしたことが認められる。
2 しかるに、本件抗告事件記録(当審記録)によれば、右売却許可決定の後、抗告人の依頼に基づき、土地家屋調査士斉藤幸一が行った本件土地面積実測の結果は合計一二四〇平方メートル余りで、公簿面積より一七五平方メートル余り広かったこと、本件土地は、これに接する道路と、地上建物(本件競売不動産中の建物)の配置状況などからその範囲が比較的明瞭であり、したがって、右実測結果はほぼ正確であることが認められる。
3 以上のとおりとすると、前記評価人は、本件土地面積を実際よりも約一七五平方メートル過少に誤認した結果、右土地についての評価を誤まり、原審裁判所は、右のような誤りを含む評価に基づいて本件競売不動産の最低売却価額を決定したものであるところ、右誤認にかかる土地面積とこれに対応する土地価額、及びそれらがそれぞれ本件土地面積、右売却価額に占める割合等を考慮すると、同売却価額の決定については重大な誤りがあり、したがって、本件競売不動産の売却に関し、民事執行法一八八条の準用する同法七一条六号の不許可事由があったものといわざるを得ない。
(枇杷田 奥平 尾方)